Monday, May 25, 2009

SKFって何だろう?

と、いぶかしんでいらっしゃる方々のために、簡単な解説をしてみます。

SKFは、数多く出ているETFのひとつです。ETFは、Exchange Traded Fundの略称で、日本語では「株価指数連動型上場投資信託」とか、元の英語の2倍3倍の言葉を使ったような訳語になってますが、要するに、投資信託ではあるけれど通常の株式と同様に売買できるファンド、と考えればいいでしょう。

SKFの連動する指数は、ダウ金融指数(Dow Financial Index、DJUSFN)ですが、このETFの特徴は、「ダウ金融指数が下がるとSKFは二倍上がる」ところにあります。つまり、金融指数が一日に10パーセント下がったとすると、このETF は20パーセント上昇するのです。昨年9月来、株式市場が大幅に下げる中、この手のETF(SKFよりさらにレバレッジの高い、3倍ショートのETFも多数出ています)は一般投資家の間でも大変な人気になりました。

日本の情報の中では、ETFについて「通常の投資信託と比べると保有コストが安く流動性の高い商品ですから、長期投資に適しているとされています。」と解説しているサイトもあるようですが、これは間違いとまでいかなくとも、不十分な説明です。レバレッジのあるETF、つまり、連動する指数の動きの2倍、3倍のリターンを謳っているETFは、ロングであれショートであれ、長期投資にはまったく適していないのです。

SKFを例にとって見ましょう。ダウ金融指数は昨年の9月から40パーセント下げています。それなら、下げ幅の2倍上がるSKFはさぞかし儲けたことだろう、と思われるでしょう。昨年の9月時点で、SKFは110ドルでした。下げ幅の2倍の上昇なら、110ドルx80パーセント、SKFは200ドル近くになっているはず。ところが、SKFの先週の終値は46ドル。What gives? いったいどうなってるの?

疑問を解く鍵は、前述の説明の中の一語、「一日に」というところにあります。ダウ金融指数が一日に10パーセント下がるとSKFは確かに20%上がるのですが、翌日になるとまた「仕切りなおし」なのです。下の表をご覧ください。ダウ金融指数が2日目に10パーセント下がり、3日目に11パーセント上がったとします。指数は1日目の終値とほぼ同じレベルに戻ったわけですが、SKFの方はどうでしょうか。2日目に20パーセント上げたものの、3日目には22パーセント下げ、3日目の終値は1日目の終値よりも6パーセント減っています。

レバレッジのあるETFは、連動指数が連日上昇、あるいは下降している(昨年の10月、11月のような)状況では高利益が望めますが、いったん指数の上昇・下降傾向が逆行を始めたり、ひとところに停滞して上がり下がりを繰り返すようになると、「仕切りなおし」が災いして、ETFの価値は連動している指数の長期の動きが示唆する価値よりも低くなってしまうのです。

レバレッジ・ショートETFのベストな使い方は、短期の売買(長くても数日)に限ることのようです。昨年のように株式市場が連日大幅に下げる状態になれば、数週間保有しても大丈夫のようです(私の経験からですが)。

レバレッジ・ロングETFも同様で、株式市場が連日上げる、今年の3月、4月のような状態が続けば長期保有も可能かもしれません。しかし、こちらも、レバレッジのない金融ETF(XLF)が今年の初めのレベルに戻っているにもかかわらず、2倍レバレッジの金融ETF(UYG)は今年の初めのレベルの半分、3倍レバレッジの金融ETF(FAS)は3分の1に留まっていることからも、長期投資のツールではない、ということをしっかり認識しておいたほうがいいでしょう。(ちなみに、この3種類の金融ETFを比べたチャートをブログに載せていますので、ご覧ください。)

Friday, May 22, 2009

水星逆行第2週: 米国株式市場の結果

水星逆行も第2週を終わり、ますます威力を発揮しているようです。水星の司る(とされている)コミュニケーション、情報伝達・交換が、明らかに滞っているようです。

考えてみれば、株式市場は情報伝達、交換がその本領のすべてと言っても良いくらい。株の売り手と買い手が、株式を発行した会社の業績、見通しなどを株価に置き換えて、いくらなら売ってもいいのか、いくらなら買う価値があるのか、互いの評価をつき合わせる場所が株式市場だと私は思うのです。

まあ、それはともかく。第2週の成績は下の表の通りです。月曜に大幅に上げたのを最後に、4日連続の下げ、結局週初めのレベルに戻っています。指数が下がった日の取引量が増えているのが気になるところです。(英語ですが、私のもう一つのブログでダウ平均のチャート分析をしています。よろしかったらご覧ください。)



来週は米国の財務省の債券オークション(1620億ドルという、大層な金額です)があるので、株式市場にもかなり影響が出るかもしれません。(週末にポストを書く予定ではあります。)ちなみに、来週月曜日は株式・債券市場の両方とも、休日です。

Monday, May 18, 2009

資産査定(ストレステスト)の真相

見ました? サタデー・ナイト・ライブのオープニングです。夜の夜中に大笑いしてしまいました。


Sunday, May 17, 2009

連邦銀行の金利政策とサブプライム危機

Lewrockwell.comに掲載された、ピーター・シフの記事の要約。

『アラン・グリーンスパン前連邦銀行総裁は、先週火曜日National Association of Realtorsでの講演で、2001年から2005年にかけての低金利政策は住宅ローンの金利、不動産価格に影響を及ぼすものではなかった、と述べた。サブプライム危機に、氏は何の責任もない、というわけである。

『住宅ローンの金利は長期金利に基づくもので、連邦銀行のコントロール下にある短期金利ではない、というのが氏の弁明の主たるものだが、今回の住宅バブル、サブプライム危機は長期金利をベースにした固定金利ローンではなく、短期金利をベースにした変動金利ローンによって発生したのである

『また、氏の不満の一つは、短期金利を注意深く調整したにもかかわらず、調整の成果が長期金利に反映されず、長期金利は低い水準のままだったことだが、それならなぜ、もっとアグレッシブに短期金利を上げなかったのか?

『つまるところ、グリーンスパン氏は住宅バブルの生みの親であったにもかかわらず、いわば親権を今になって否定しているわけである。しかし、未だに氏の言動が重視されていること自体、今回の危機に関する一般の理解がいかに欠けているかを示すものだろう。』

水星逆行第1週:米国株式市場の結果

今回の水星逆行はもしかしたら今までとは違うか、と期待してみましたが、期待は見事に裏切られましたね。まあ、期待を投資の基準にしてはいけないんですが...。今週の米国株式市場の結果は下の表の通り。


ダウ平均とS&P500は先週のオープン値近くまで逆戻り、ナスダックは先週のオープン値より低い水準で今週を終わりました。