Sunday, April 24, 2011

NHKワールド英語版が作った「風評」:「300ミリシーベルトのがれきが近くの山の中腹に」

東電が福島第1原発の作業員に配っている「汚染マップ」のニュースで、NHKワールド(英語版)が結構とんでもない翻訳ミスをしています。(多分。)

TEPCO discloses radiation map”というタイトルの記事の中ごろに、

Radiation levels around the Number 3 reactor building, which was damaged by a powerful hydrogen explosion, are higher than in other locations, and 300 millisieverts per hour of radiation was detected in debris on a nearby mountainside.

これを日本語に訳すと、

激しい水素爆発で損傷した3号機の原子炉建屋周辺の放射線量はほかよりも放射線量が高く、1時間当たり300ミリシーベルトの放射線量が近くの山の中腹の瓦礫から検出された

ニュースを読んだアナウンサーの人も、まったく疑う様子もなく堂々とニュースを読んでいます。翻訳ミスでないとしたら、これは重大な事実を東電も政府も隠蔽していて、NHKワールドがすっぱ抜いたことになります。

このNHKワールドのニュースを見て、3号機が爆発したときに実は高放射能の破片が近くの山まで飛んでいて、それを今になって報道しているのだ、と理解した海外のサイトが、ニュースをリンクしています。私も、そんなニュースサイトのひとつでこのニュースを知りました。

ところが日本語版のNHKニュースを見ると、

激しい水素爆発があった3号機の原子炉建屋周辺は、ほかよりも全般に放射線量が高く、山側のがれきからは1時間当たり300ミリシーベルトの高い放射線量が検出されています。

つまり、建屋の、山に面した側(西側)から見つかったがれき、と言っているだけなのです。海側、海に面した側(東)というのもあるわけで、NHKワールドで英語翻訳をなさった方は未だに福島第1原発の敷地のレイアウトをご存じないか、翻訳された原稿を見るエディターの方もご存じないか(それとも本当のスクープなのか)。

まあ、翻訳者が日本語があまり分からなかった、という可能性もあります。また、日本語があまり分からないエディターが英語だけ見て英語を直してしまった、という可能性もあります。

根拠のない記事、誇張記事を書く、といって外国のメディアを攻撃している日本政府の半公式な放送局であるNHKが、図らずも根拠のない「風評」記事、ニュースを全世界に発信してしまったわけです。なんとも、おかしく、情けない話です。

NHKワールドにはメールを出しておきましたが、返答は今のところなし。未だにニュースも元のままです。まあ返事が来て早くて1週間、その頃にはもしかして近くの山の中腹から300ミリシーベルトの瓦礫が出ているのかもしれませんね。ははは。

2 comments:

  1. やっぱり風評ではなかったようですよ。

    このブログで紹介されていた福島第一原子力発電所サーベイマップの3月31日現在のものには、3号機のそばに「ガラ300」とあります。
    http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/index3-j.html

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  2. NHKワールドのニュースの問題は、日本語の「山側」というのを3号機の山側、つまり山に面した側、という本来の意味ではなく、原発の西側にある丘陵地にしてしまったことです。そんな遠くまでがれきが飛んで(3号機のそばではなくて)、山の中腹にある、という、事実とは(今のところ)何にも関係ないニュース捏造になってしまっています。

    NHKワールドにだしたメールはいまだに返答なし。

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