Wednesday, June 22, 2011

再掲:年間自然放射線量2.4ミリシーベルトの欺瞞

ずっと昔(ちょうど2ヶ月前)に出したポストですが、最近の内外の記事でいまだにいわゆる日本の放射線『専門家』が日本の自然放射線量は年間2.4ミリシーベルトだ、と普通人に言い聞かせているのが目に留まったので、再掲します。

日本の自然放射線量は、外部被曝、内部被曝合計で年間平均1.4ミリシーベルトです。それに加えて、法律で、被害よりも利益のほうが上回ると思われるので、医療用などの放射線被曝を年間1ミリシーベルトまでは認めよう、というものです。この追加の1ミリシーベルトは、レントゲンなどを取らなければ被曝もしないわけで、任意の被曝をここまでは我慢できる範囲だと認める、ということでしょう。

しかも、この年1.4ミリシーベルトも日本国内で大きなばらつきがあり、主に地層の違いで東北、関東ではこれより低い地域が多く、関西、四国、九州はこれより高い地域が多くなります。

今までずっと年間1ミリシーベルトの自然放射線量の土地で適応して暮らしてきた人たちが、専門家がそう言うから今年の3月以降は年間10ミリシーベルトまで、100ミリシーベルトでも大丈夫、というのは、立派な根拠があるんでしょうね。知りたいものです。

以下、再掲の4月22日付けブログポスト。
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何時の頃からか、多分福島第1原発から「低濃度」汚染水(ちっとも低濃度じゃなかったんですが)を排出しだした頃から、年間自然放射線量が「2.4ミリ シーベルト」と報道されるのがもっぱらとなっているようです。汚染水垂れ流しを発表した東電、また、枝野官房長官の言にも、「汚染された魚、海草を1年間 食べ続けても600マイクロシーベルト、年間自然放射線量の4分の1にしかならない」、つまり、年間自然放射線量は2.4ミリシーベルトということになり ます。

ちょっと待て。確か日本の年間自然放射線量はもっと低かったはず。でも、現在、テレビ、新聞のニュースでは年間2.4シーベルトを普通でも浴びる、と当たり前のように言っています。

ところが、よくよく見ると、これは「世界平均」なのです。

そこで、日本の年間自然放射線量を探してネットをさまよったところ、中部大学武田先生の言で1.5ミリシーベルト、更に検索で、茨城県つくば市の放射線科学センターにたどり着きました。

結論から言うと、日本平均年間自然放射線量は1.4ミリシーベルト

センターの出している、「暮らしの中の放射線」41ページには、こうあります:

「自然放射線の量

「人 間が一年間に被ばくする自然放射の量はどのくらいでしょうか。1988年国連科学委員会の報告では全世界で人類が平均的に被ばくしている自然放射線は下の 図のように推定されています。全世界平均では年間2.4ミリシーベルトですが、日本における値は1.4ミリシーベルト(1988年10月推定値)となって います。」

日本の年間自然放射線量は1.4ミリシーベルト、世界平均のわずか58パーセントの放射線量なのです。センターによると、

「大地からのガンマ線が高いところとして、外国ではインドのケララ地方やブラジルの一部が知られています。この地域では年間数十ミリシーベルト程度と、なんと日本の数十倍もの値が報告されています。」
日本がこのような地域を含む世界各国の値と合算されて平均値にすると、世界平均で年間2.4ミリシーベルトとなる、というわけです。

日本平均の1.4ミリシーベルトという値は、宇宙線を含む外部被曝と食物、空気などから体内摂取する内部被曝の両方を含みます。内部被曝が全体の3分の2、 外部被曝が3分の1という内訳のようです。放射能(ラドンなど)を吸い込むことによる内部被曝が全体の5割強を占めています。

世界平均ではなくて日本平均でみると、600マイクロシーベルト相当の放射線を福島第1原発で汚染された魚、海草で取り込んだとすると、年間自然放射線量の4分の1、25パーセントではなく、43パーセントです。

ところが、この1.4ミリシーベルトですら、東北、関東の地域にとっては多分高すぎるのです。センターによると:

「自然放射線の量は地域によってどのくらい差があるのでしょう。日本各地の宇宙線と大地からの放射線の量を下の図で見てみましょう。これには、ラドンなどの内 部被ばくは含まれていません。関西や中国地方は放射性同位元素を多く含む花崗岩地帯が多いので大地からのガンマ線の量が多く、逆に、関東平野は火山灰地の ためガンマ線の量は少なくなって
います。」

あああまったく。どうせここまでやるんだったらラドンも含めてよ!0.99ミリシーベルト以下、と言うのも、どれくらい以下なのか、分からないじゃないですか、まったく。

そこで、もう一箇所チェック。各都道府県別の自然外部被曝の数字を見つけて、それを3倍して全体の数字を比べて見ようという試みですが、果たして。

「文部科学省/放射線計測協会が簡易放射線測定装置「はかるくん」を貸し出して全国の自然放射線の計測を行い都道府県別の平均値が公表されている」、というリンクは日本地質学会からです。

放射線計測協会「はかるくん」の測定結果は、

福 島県を見ると、0.037マイクロシーベルト/時です。一年で、0.037x24x365で、324.12マイクロシーベルトになります。これを自然外部 被曝として、全体の年間自然放射線量はこれの3倍とすると、972.36マイクロシーベルト、または0.972ミリシーベルトとなります。

高いのは岐阜県、0.055マイクロシーベルト/時。同じように年間自然外部被曝量を計算すると、0.055x24x365で、481.8マイクロシーベルト、これを3倍して、1.45ミリシーベルト。

更に、日本地質学会の計算した日本の自然放射線量(地 上1メートルとあるので、自然外部被曝分の放射線量だと思われます)は「はかるくん」の実測より更にばらつきは大きく、少ないところで0.00581マイ クログレイ時(マイクロシーベルトと同等、との但し書き)、これは年間相当でわずか50.9マイクログレイ(マイクロシーベルト)の自然外部被曝量。多い ところは0.127マイクログレイ時、年間相当で1.113ミリグレイ(ミリシーベルト)の自然外部被曝。つまり、外部被曝だけでも日本の中で20倍以上 も差が出るのです。

全体の年間自然放射線量をここでも単純に自然外部被曝量の3倍とすると、少ないところで年間152.7マイクロシーベルトまたは0.153ミリシーベルト、多いところで3.339ミリシーベルトとなります。

概して東日本、東北は低めの値、関西四国九州は高めの値です。

これをひとくくりにして、日本の平均自然放射線量はは1.4ミリシーベルトとしているわけです。

ただでさえはるかに日本より高い世界の平均年間自然放射線量を基にして、現在の日本での許容量を推し量ろうとするのは、多分間違いでしょう。日本の自然放射線量はもともと世界平均の6割以下、日本の中でも地域差が激しいのです。

放射線を浴びると放射線への耐性が付く(Hormesis、ホルミシス効果)という考えを提唱する研究者もいますが、多くの研究者に指示されている学説とは言い難いようです。

まあ、こんな「学説」もあるようですから、ホルミシス効果もあるに違いありません。(皮肉です、念のため。)

「放 射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線 の影響少ないんですね。決して飲めということではありませんよ。笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます。(長崎大学大学院医歯薬学科薬学総合研究科長 山下俊一、福島市2011年3月21日14時- 山下俊一氏・高村昇氏「放射線と私たちの健康との関係」講演会)」

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