Wednesday, July 20, 2011

エネルギー総合工学研究所、内藤正則氏:「福島第1原発、原子炉冷却が2日半止まるだけで核燃料は再度溶け出す」

7月20日のNHKニュースはいわゆる東電・政府の「工程表」の「ステップ1」とやらが成功裏に終了したことを告げるものでしたが、その中にこんな言及が埋まっています。

専門家は、トラブルで原子炉への注入が止まると、2日半程度で核燃料が溶けて放射性物質が放出されるおそれがあるとして、リスクは続いていると指摘しています。

...これに対し、原子炉の解析に詳しいエネルギー総合工学研究所の内藤正則部長が試算した結果、福島第一原発1号機で、トラブルで原子炉への注入が止まると、 1日半で、原子炉や格納容器にたまっている水は、核燃料が発する熱で蒸発してなくなり、さらに1日後には、核燃料の温度が2850度に達して溶け出し、放 射性物質の放出が始まるとしています。

内藤部長は、「今、核燃料が持つエネルギーは事故直後の10分の1以下に落ちているが、熱はまだ残っていてリスクは続いている。国と東京電力は、こうしたリスクを示すとともに、今の対策で対応できるか地元住民に説明すべきだ」と話してます。

(話してます、っていうのが愛らしいですね。)

事故直後の10分の1のエネルギーですら、1日半で原子炉の水を蒸発させるのに十分なわけですか。1号機の圧力容器には穴が開いており、格納容器も損傷していることをお忘れなく。つまり、水が原子炉に大量に溜まるような構造ではすでにないのです。これで注水が止まったら、1日半よりよほど早く水は蒸発するような気がしますが。


ちなみに、東電が発表した現在の放射性物質放出量の試算は一時間当り10億ベクレル、最盛時の200万分の1、ということですが、あくまで試算であることをお忘れなく。

しかも、この10億ベクレル、今までの政府(保安院、原子力安全委員会)が出した放出量試算がINESの基準に従ってヨウ素131換算であるのに対し、単にセシウム134と137の試算値を足したもののようです。どうも作為が感じられます。セシウムの量をヨウ素131換算すると、セシウム134は3倍、セシウム137は40倍しなければならないのです。セシウム134と137の比率などは東電の発表にはどこにも書かれていませんが、半々とすると、一時間あたりの放射性物質放出量はヨウ素換算で215億ベクレルになります。一日で5160億ベクレル、二日で1テラベクレルを超えます。

1 comment:

  1. そもそも10億ベクレルの推定が話しになりません。

    風向きによって変化しないので、こんなもんだろ。みたいな評価。

    http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110719u.pdf

    まとめねばと思いつつ、相手の物量作戦にやられてしまっています。

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