Thursday, August 25, 2011

国立環境研究所によるヨウ素131、セシウム137積算沈降量シミュレーション

福島第一原発で放出されたヨウ素131の13%、セシウム137の22%が日本の陸地に沈着。

「何を今更」のカテゴリーに入りそうですが、まずは8月25日のプレス発表

国立環境研究所の研究グループは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う事故によって東京電力福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中の挙動を明らかにするために、日本中央域を対象とした大気中での移流・拡散・沈着過程のシミュレーション(大気輸送沈着シミュレーション)を実施しました。その結果、放射性物質の影響は福島県以外に、宮城県や山形県、岩手県、関東1都6県、静岡県、山梨県、長野県、新潟県など広域に及んでいることが明らかになりました。また、モデル解析から、福島第一原発で放出されたヨウ素131の13%、セシウム137の22%が日本の陸地に沈着して、残りは海洋に沈着するか、モデル計算領域外に輸送されると推計されました。本研究成果は、Geophysical Research Letters(アメリカ地球物理学連合発行)誌の学会員向け電子版に8月11日付けで掲載されました。

その英語論文と言うのはこちらです

で、この論文の19ページ目にあるのがプレス発表にも出ているヨウ素131とセシウム137の積算沈着量と平均濃度。3月11日から29日までの積算です。これを見ると、ヨウ素、セシウムとも、福島を中心とした東北南部、関東全域、中部(長野、新潟、静岡)に広く分布したと推定されています。しかも、高沈着量(赤)なのは福島の半分以上、宮城県南部、茨城県の一部。栃木県から長野県にかけて、セシウムの比較的高い地域(赤、オレンジ、黄、緑)が帯状に存在します。この帯の一部が東京の奥多摩あたりに飛んでいるのが分かります。

プレス発表、および論文の1ページ目にあるとおり、この論文は6月27日に提出され、8月11日に電子版で出版された、とのこと。アメリカ地球物理学連合は権威ある学会ですので、論文もピア・レビューで、おそらく認められて出版されるまでデータは外部に出してはいけない、などの制限があるのだと思いますが、国立の研究所がこのようなシミュレーションデータを持っていてそれを5ヶ月間、論文発表のためかどうかは存じませんが、じっと黙って持っていた、と言うことに、何か割り切れないものを感じます。

25年後のチェルノブイリの土壌のセシウム濃度の研究をしているわけではないのです。現在進行形の汚染で、しかも事故からまもない時期で、しかも高汚染の地域に多くの人が情報を与えられないまま住んでいる、という状況で、学術論文もないだろうに、と思うのは、まあ私のような素人なのでしょう。

そうそう、英語ブログにこんなコメントが付いていました。

I am in japan & you need to know the truth
Radiation risks are very localised. The blanket generalisations printed daily by Japan Times are at best meaningless, at worst misleading.
As with anything in JP, gov is being extremely conservative, setting margins well beyond any rad expert would recommend

ということですので、皆様ご安心ください。(ご苦労様です。)ジャパンタイムズが何で突然出てくるのか分かりませんが、私がジャパンタイムズの記事を引用しているとでも思われたんでしょうか。(ちなみに英語ブログのニュースソースはほとんどが日本のメジャーな新聞・通信社ばかりです。読売、朝日、毎日、共同、時事、時たま産経など。)

3 comments:

  1. 英文の書き方指導をしていただければ、幸いです。
    どのあたりが、素人表現なのか大変興味があります。

    ようやく今になってきて、線量のことを理解できるようになってきました。3月当初の状況を再度知らせるべき時期になっていると私は思ってます。

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  2. いつも真実を見つけるために、拝見させていただいています。情報の発信ほんとうにありがとうございます。
    わたしは、埼玉に住む20代です。
    原発人災の後の週末は、山中湖畔に避難しましたが、家族の事情もあり日曜日には、埼玉に戻りました。
    しかし、悪くなるばかりの原発の状況に身の危険を感じ、3月16日に関西へ新幹線で避難しました。その時、相模湾や東海道周辺には、きのこ雲が崩れたような真っ黒の低い雲がいくつかありました。
    それまで、水道水の汚染まで頭が回らなかったのでマスクをしている程度で、普通に水道水を使って作ったものを食べていました。
    体の異変を感じ始めたのはこのころからでした。
    指の先端が時々チクっと内部から痛む症状と、腰の奥の方の骨が痛む症状、のどの下のほうが時々痛くなる症状が出ました。
    今はこの三つの症状はほぼ無くなり、変わりに時々すねの骨が痛む程度です。
    恐らく、核種はわかりませんが[だいたい予想はつきます]、内部被爆をしているんだなと自己診断しています。
    なので、最近はなるべく九州の物を食べています。
    古い原発→固定資産税が安い→儲かる→廃炉にしない。この資本主義の最低のメカニズムがほんとうに憎いです。
    この先の人生で、何が起こるかはまだわかりません。
    しかし、骨の癌や白血病をもし発症したならば、己の利益のために原発を推進してきた、経産省の役人、電力会社の幹部を許すことはできないと思います。

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  3. 国立環境研究所が似たようなデータを作成し、5/26に利用していました。Webでは6/3に公開し、6/14にこれを紹介していたサイトも見つけました。私は全く知りませんでしたが...。

    ●データ(p.4~5):http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001eaf3-att/2r9852000001eak9.pdf

    ●公開は6/3:
    http://web-sniffer.net/?url=http%3A%2F%2Fwww.mhlw.go.jp%2Fstf%2Fshingi%2F2r9852000001eaf3-att%2F2r9852000001eak9.pdf

    ●6/14に紹介記事あり:
    http://konstantin.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/61-11ab.html

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