Tuesday, January 31, 2012

福島第1原発4号機、原子炉ウェル・使用済み燃料プールの水が漏洩していた

東京電力の2月1日午前の記者会見での情報です。日本語の記者会見を聞きながら英語で取ったメモを基にして書いた英語ブログポストをみて、日本語のポストを書く、という妙なことをやっていますが、記者会見のビデオは東電のサイト、ここで1週間分ご覧になれます。

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東電は、4号機原子炉建屋1階のジェットポンプ計装ラック内の計器テストラインから原子炉水が漏洩、と発表。少なくとも6リットルの水が漏れたものと思われる。建屋外部には漏れていない。

4号機の原子炉ウェル、圧力容器は水を張った状態(事故が起きた時、4号機は定期点検中だったため)で、現在原子炉ウェルと使用済み燃料プールの間は水が自由に行き来できる状況になっている。1月1日の地震で、原子炉ウェルと燃料プールの間のゲートが緩んだため。

つまり、漏れた水は使用済み燃料プールの水と混ざったものであり、検出された放射能濃度からも察することが出来る(1立方センチメートル当たり35.5ベクレル、つまり1リットル3万5500ベクレル)。

以下、東電の2月1日午前の記者会見からの情報。(ちなみに、会見にはいつもの松本さんはおらず、会見を仕切る広報の人はほとんど技術的なことが分かっていない様子で質問にも答えられず、記者がいらいらしていた。向かって左の人が技術が分かり、専らこの人が答えていた。)

  • 1月31日午後10時30分ごろ、4号機のジェットポンプ計装ラック内の計器テストラインから水が漏れているのを作業員が発見。この計装ラックは原子炉建屋1階の南西コーナーにある。

  • テストラインの弁が壊れており、鉛筆1本分の太さの水が流れていた。

  • テストラインは圧力容器内のジェットポンプにつながっている。
  • 圧力容器内にはジェットポンプが20あり、圧力容器内の水を攪拌するような働きをする。

  • 弁のダメージがどのようなものかは分かっていない。おそらく凍結によるものではないと思う。建屋が爆発したときのダメージかもしれない。建屋のフロアにはがれきが沢山あり、計測ラックも傷が付いている。

  • 漏洩は、31日午後10時43分、圧力容器からのメーンラインを止めた時点で止まった。

  • 漏洩した量6リットルというのは、がれきの中で分かる範囲、ということで、実際はこれより多いかもしれない。

  • 水は原子炉ウェルからのもの。原子炉には燃料は入っていないが、水を張ってある。

  • 漏れた水の放射能濃度は一立方センチ当たり35.5ベクレル。(それが何の核種を測ったものなのか、と記者が聞くが、結局答は無かった。)従って、これは使用済み燃料プールとつながっている原子炉ウェルから来たものだと推測。

  • 原子炉ウェルと使用済み燃料プールはゲートで仕切られているが、1月1日の地震でゲートに隙間が出来、「つーつー」(東電の言)になっている。

  • 東電は、何か問題が起こっている可能性があることを前日の1月30日から知っていた。30日の午後3時50分に、スキマーサージタンクの水位が急激に下がっていることに気づいたのである。そのときは、エアフィンクーラー(使用済み燃料冷却)を午後3時13分に再起動させたすぐ後だったので、その影響だろうということで、1日ほど様子を見て、原因を確かめることにした。

  • スキマーサージタンクの水位は毎時60ミリから90ミリのペースで低下していた。通常、現在の気温では、水位はほとんど一定している

  • 1月31日午後10時30分になって、作業員がジェットポンプテストラインのバルブが壊れており、そこから水が漏れているのを発見した。

  • 漏洩を止めた時点で、スキマーサージタンクの水位の低下は止まった。
  • 水は原子炉ウェルと使用済み燃料プールの間を自由に行き来する状態になっており、原子炉ウェルの水位が下がるということは使用済み燃料プールの水位が下がると言うことであり、それがスキマーサージタンクの水位に反映される。

  • 漏洩はおそらく建屋内に留まっており、地下の滞留水に合流したと思われる。

スキマーサージタンクの水位の低下が最初に発表されたのは1月1日の地震の後でしたが、そのときの説明は「地震によって原子炉ウェルと使用済み燃料プールの間のゲートに隙間が開いたため燃料プールから原子炉ウェルに水が流れ込み、その分スキマーサージタンクへ流入しなくなったため、自然の蒸発もあってスキマーサージタンクの水位が下がった、という説明でした。当時の低下量は一時間80ミリ、今回と同じレベルです。

それから1ヶ月近くたってやっと、東電は「スキマーサージタンクの水位が使用済み燃料プールの水位の指標になる」と認めたのです。

スキマーサージタンクの水が一時間に60~90ミリ低下しており、計装ラックのテストラインの漏洩が発見されて止まるまで29時間あったのですから、漏洩したのが6リットルであろうはずもありません。1月からの4号機のスキマーサージタンクの水位を注目していた(奇特な)方がいらっしゃればお分かりになると思いますが、水位は1月1日以降、かなり大幅に上下していました。水位が上がったときは東電が注水を行ったときではないかと思われます。ということは、29時間どころではなく、1月中ずっと漏れていたのに気づかなかった、ということになるのではないかとも思われます。

東電は、「計算してまたお知らせしたいと思いますので」、という例のせりふでした。

スキマーサージタンクの水位は、東電サイトのプラントパラメータのページに出ています。

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